統合失調症
統合失調症とは
統合失調症は、脳の様々な働きをまとめることが難しくなる病気です。統合失調症は100人に1人がかかるとされ、とても身近な病気です。特に思春期を含む若年で発症しやすいと考えられています。以前は予後の悪い病気と考えられていましたが、現在は、有効な治療方法が確立されていることや、良いお薬が開発されており、適切な治療を継続することで回復に向かう病気です。早期診断・早期治療が早い回復につながるため、できるだけ早く心療内科・精神科を受診することが大切です。
統合失調症の症状
現れる症状は患者様によってさまざまです。
陽性症状
陽性症状の「陽性」とは「本来、こころの中にないものが存在する」という意味です。
統合失調症の代表的な症状で、主に急性期にみられる症状です。
●幻覚
実際にはないものをあるように感じる状態です。なかでも最も多くみられるのが、幻聴です。
その他、幻視、幻嗅、幻味、幻触、体感幻覚が起こることもあります。
(例)
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誰かが自分の悪口を言っている
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誰かが命令する
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監視されている内容が聞こえてくる
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幻聴との対話でブツブツ言ったり、笑ったり、怒ったりする など
●妄想
明らかにありえないことを事実だと信じ込む状態です。
(例)
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自分には特別なパワーが備わっている
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電磁波で攻撃をされている
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すれ違いざまに敵に襲われる
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近所の人が自分の悪口を言っている
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自分は誰かに監視されている
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尾行されている
●思考の混乱
考えがうまくまとめられなくなり、考え方に一貫性がなくなります。
(例)
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支離滅裂
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まったく脈絡のないことを言ったり考えたりする
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何を話しているのか分からなくなる
陰性症状
陰性症状の「陰性」とは「本来、こころの中にあるはずのものが存在しない」という意味です。
多くは急性期の陽性症状がおさまったあと、消耗期(休息期)にみられる症状です。
●感情の平板化
喜怒哀楽の表現が乏しくなり、他者の感情表現に共感することも少なくなります。
●意欲の衰退
自分から何かの目的をもった行動をはじめたり、根気よく持続させることができなくなります。
仕事や家事、勉強などへの意欲や気力がわかず、取り組むことが困難になったりします。
●集中力の低下
集中力が低下し、何かに手をつけても続けることができなくなります。
仕事や勉強に集中したり、考えをまとめたりすることが困難になったりします。
●自閉(社会的引きこもり)
他者とのコミュニケーションを避け、引きこもりがちになります。
ぼ~っと過ごす日々が続いたりします。
認知機能障害
認知機能には、記憶力、判断力、集中力、実行力、計画能力、統合能力、問題解決能力などが含まれます。統合失調症ではこれらの認知機能が低下し、日常生活・社会生活に支障をきたします。
統合失調症の経過と症状
統合失調症の症状の現れ方や経過は人によってさまざまですが、一般的には、前兆期、急性期、消耗期(休息期) 、回復期という4つの段階で経過します。ただし、これらは一方向ではなく、休息期や回復期に病気を誘発するようなストレスがかかると、再び急性期の症状へと戻り(=再発)、また休息期、回復期という経過をたどります。再発が繰り返されると、休息・回復に要する期間が長くなるといわれています。
統合失調症の治療
薬物療法
統合失調症の基本となる治療は抗精神病薬による薬物療法です。必要に応じて睡眠薬、抗不安薬などを使用することもあります。
統合失調症は、服薬の中断によって再発しやすい病気です。また、再発を繰り返すと症状が悪化し、回復しにくくなります。向精神病薬には再発を予防する効果をもっているため、薬を飲むことをやめる、薬の量を減らすなどについては、主治医とよく相談して決めましょう。
心理社会的療法
●心理教育
病気や治療について学びながら、日常生活の困っていることに対処する方法を学びます。
●ソーシャルスキルトレーニング(SST: Social Skills Training)
社会生活を営む上で必要なコミュニケーションのコツや人間関係の構築を円滑に行うために必要なスキル(挨拶、表情、相手の感情の理解、誤解が生じた際の対応、など)を具体的なロールプレイを通して学んでいきます。