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トラウマ関連疾患(PTSD・複雑性PTSD)

トラウマ関連疾患とは

強い精神的ストレスや強烈な出来事を経験した場合、こころは強い衝撃を受け、それがこころの傷(トラウマ)となり、その後、フラッシュバックや悪夢を生じるなど、様々なこころの異常を引き起こしたものをPTSD(Post Traumatic Stress Syndome:心的外傷後ストレス障害)と呼びます。

PTSDは「単純性PTSD」と「複雑性PTSD」に分類されます。

単純性PTSD

1回のトラウマ体験(例:震災、事故など)で生じたこころの傷が原因となっている。

 

複雑性PTSD

長期的に複数のトラウマ体験(例:長期にわたる虐待、いじめなど)が積み重なって生じたこころの傷が原因となっている。

PTSDの原因となる様々なトラウマ体験(例)

例えば、同じ災害を経験しても、PTSDになる人とならない人がいるように、こころの傷(トラウマ)を誰かと比べることはできません。

1回のトラウマ体験

  • 震災

  • 事件・犯罪

  • 交通事故

  • レイプ

  • 暴力 など

長期反復的なトラウマ体験

  • 家庭内暴力・DV

  • 育児放棄(ネグレクト)

  • 両親の不仲・ケンカ

  • いじめ

  • 児童虐待

  • 性的暴行

  • 宗教的な洗脳 など

PTSDの症状

フラッシュバック(再体験症状)

ふとした時にトラウマ体験の感情や映像、皮膚感覚がよみがえり、恐怖、苦痛、怒り、哀しみ、無力感などを感じる状態です。悪夢を見ることもフラッシュバックの一つです。

回避・麻痺症状

トラウマ体験を思い出すような状況を避けるようになり、その結果、行動が制限されて、通常の日常生活・社会生活が送れなくなることがあります。また、強いストレスを受ける原因となった記憶を忘れてしまったり、まるで人ごとのように感じたりすることもあります。

(例)

  • トラウマを想起させる物・人・状況(場所や日付など)を避ける

  • トラウマの原因となった人に似ている人を避ける

  • 昔の記憶がない部分がある

  • トラウマ体験にフタをして思い出さないようにしている など

認知と気分の陰性変化

過剰に否定的な考えになったり、興味や関心を失ったりする状態です。何をしても心から楽しむことができず、孤立感を覚えたり、幸せや優しさなどの感情を失ってしまうこともあります。

過覚醒症状

常に気持ちが張り詰めた状態が続き、些細なことでビクビクしたり、警戒心が極端に強くなったり、怒りっぽくなったり、よく眠れなくなったりします。

PTSDの治療

以下のような専門的な治療をおこなわなくても、医師や臨床心理士に自分の気持ちを話すことで良い方向へ進む場合もあります。

心理社会的療法

持続エクスポージャー療法(PE)

安全な環境下で、心の中で繰り返しトラウマ体験を思い出すこと(想像エクスポージャー)や、トラウマ体験後に、実際には安全でも怖くて避けるようになってしまった状況に現実場面で向き合うこと(現実エクスポージャー)をおこない、不安な気持ちに少しずつ慣れていくことで、不安を伴う症状の改善やトラウマを乗り越えられることを学んでいきます。

 

認知処理療法(CPT)

心の仕組みを理解し、トラウマについての考え方や認知を見直すことで、トラウマを乗り越えられることを学んでいきます。

 

眼球運動脱感作療法(EMDR)

治療者が指を左右に振るので、それを目で追いかけながら、トラウマ体験を頭に思い浮かべていただきます。眼球運動は脳を直接的に刺激するため、脳が本来もっている情報処理のプロセスを活性化することができます。

薬物療法

不眠や不安、うつ症状が強い場合は、お薬を用いる場合があります。

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