適応障害
適応障害とは
適応障害は、環境の変化や新しい状況にうまく適応できず、それがストレスとなって心身に様々な症状が現れる状態です。適応障害はストレスの原因がはっきりしていることが多く、ストレスの原因から離れることで症状の改善が見込めます。しかし現実的には、ストレスから完全に離れることは難しい状況も多く、可能な範囲で環境調整を行うことや、ストレスとの向き合い方や対処法を見出すことも大切になってきます。「自分の努力が足りていない」「気持ちが弱いから」「自分が我慢すれば・・・」などと考える方は多いですが、適応障害は誰でもなる可能性があります。適応障害からうつ病に移行するケースもあるため、早めに専門家に相談することが大切です。
適応障害の原因となる主なストレス
一般的に、以下のようなストレスが適応障害の原因になる可能性があると考えられています。
仕事のストレス
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職場(学校)の人間関係
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業務量の多さ
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仕事の責任の重さ
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慣れていない業務、自分に合わない業務
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異動や転職による環境の変化
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転勤、海外赴任
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昇進、降格、失業
日常生活・家庭のストレス
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経済的な問題
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家族との人間関係
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結婚
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離婚
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妊娠・出産
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育児や教育の問題
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介護
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失恋
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引越し・転校
その他のストレス
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学業や受験のストレス
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いじめ
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受験の失敗
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病気を患う など
適応障害の主な症状
適応障害の症状はストレスによる身体と心の変化のため、個人差が大きく、人によって様々です。
精神症状
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焦りや不安がある
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抑うつ気分がある
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イライラや怒りがある
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意欲が低下した状態
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いつも緊張している
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情緒不安定 など
身体症状
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疲労感
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不眠・過眠(睡眠障害)
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食欲低下・過食
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めまい
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動悸
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過呼吸
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頭痛・肩こり・腹痛
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多汗 など
行動面に見られる症状
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遅刻、欠席、欠勤、早退
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仕事に行けない
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不登校
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暴飲暴食
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物を壊す
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暴言・暴力
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散財してしまう など
適応障害の治療
環境調整
ストレスの原因を取り除くことができる場合には、原因を取り除き、休養をとることが望ましいです。
現実的にストレスを取り除くことが難しい場合には、受けるストレスを減らすことができるよう可能な範囲で環境を調整していきます。
環境調整の例
●仕事が原因の場合
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休職・休学
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配置転換
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業務量や業務内容の調整
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残業制限、勤務時間の調整
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転職 など
●家庭が原因の場合
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家庭での役割分担の調整(家事、育児、介護など)
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家事サービス、シッターなどのサービスを取り入れる など
●人間関係が原因の場合
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ストレスを感じている相手と距離を置く など
心理社会的療法
環境調整が困難な場合や、環境調整だけでは改善が難しい場合は、患者様ご本人のストレスに対する適応力を高めていくことも大切です。医師や臨床心理士と対話を重ねながら、ストレスに対して自分がどのような考え方や行動パターンを持っているかを知ることで、ストレスの上手な受け止め方を探っていきましょう。
薬物療法
症状に応じて対症的に薬物療法を検討します。
適応障害における薬物療法は、あくまでも補助的役割であり、根本的な治療ではありません。